アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎とは
かゆみのある湿疹が、慢性的に良くなったり悪くなったりを繰り返す病気です。アトピー性皮膚炎では、皮膚の"バリア機能"(外界のさまざまな刺激、乾燥などから体の内部を保護する機能)が低下しており、それが原因で環境中の様々なものに対してアレルギーになりやすいです。
アトピー性皮膚炎の検査
アトピー性皮膚炎の血液検査として、アトピー性皮膚炎の重症度を評価するために、TARCまたはSCCA2を測定します。また特異的IgE抗体検査を行うことにより、ダニやカビ、犬猫のフケなど、どのような悪化要因が関わっているかを検討します。
アトピー性皮膚炎治療
アトピー性皮膚炎の治療は、①スキンケア ②薬物療法・光線療法 ③悪化要因の対策の3つが治療の基本となり、どれも欠かすことができません。正しい治療を行うことで症状をコントロールして、湿疹などの症状が出ない状態にすることができます。(当院では光線療法も行っております。)
治療の実際
標準的治療の①スキンケア(皮膚の清潔を保ち、うるおいのある状態を保つこと)②薬物治療③環境整備(環境中の悪化因子をみつけ、可能な限り取り除くこと)の三本柱を中心にした治療を行いますが、完全寛解を目指すというよりも症状をコントロールすることによってできるだけひどい症状にならないようにすると言ったほうが正しいかもしれません。一方で、近年発売されたデュピクセントという注射薬はアトピー性皮膚炎の症状に対して非常に高い効果を示しています。またこの注射薬は二週間に一回皮下に注射する必要がありますが、自分で注射することができます。従って、注射のたびに毎回来院する必要がなく、薬局で何回分かまとめて受け取ることができます。さらに最近リンヴォックという内服薬が登場し、特にかゆみに非常に高い効果を示します。リンボックの特徴として12歳以上で内服が可能ですので、中高生でアトピーの症状で悩まれている子供たちも内服可能です。症状がひどく、かゆみで夜が眠れない患者さんもいらっしゃいます。こうした場合、寝不足や精神的なストレスから鬱になるケースもあります。特に若い患者さんの場合、こうしたお薬によっていったん症状をリセットすることによって、精神的にも正常化する可能性が高いです。
外用薬
- ステロイド外用薬 (治療の基本となるお薬です)
- プロトピック軟膏(タクロリムス水和物軟膏)(2歳以上)
- コレクチム軟膏(ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬)(生後6ヶ月以上)
- モイゼルト軟膏(ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬)(生後6ヶ月以上)
経口薬
- リンヴォック(経口ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬)(12歳以上)
- オルミエント(2歳以上)
- サイバインコ
注射薬
- デュピクセント(ヒト型抗ヒトIL-4/13受容体モノクローナル抗体) 皮下注射(生後6ヶ月以上)
- ミチーガ (ヒト化抗ヒトIL-31受容体Aモノクローナル抗体) 皮下注射
- アドトラーザ(ヒト抗ヒトIL-13モノクローナル抗体) 皮下注射
- イブグリース 皮下注射
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