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薬疹

診断

薬を内服して発疹が出た場合にはすぐ薬疹と考えたくなりますが、これは正しくありません。大体薬は具合が悪い時、とくにウイルス感染がある患者さんが内服する場合が殆どなので、薬疹かウイルス感染かの区別が非常に難しい事が多いです。

つまり、ウイルス感染の一つの症状として発疹が出てくる場合、例えば麻疹(ハシカ)のように最初熱が出て、それから発疹が出てくるようなウイルス感染の場合には、ウイルス感染を疑わなければ薬疹と間違って診断されることになります。

そのため薬疹と診断するには、薬を内服し始めてから発疹の出現するまでの経過が重要です。新しい薬を飲み始めて1~2週間で出てくる場合には(アレルギー性)薬疹を疑うことになります。薬を中止して発疹が良くなってくる場合には、ますます薬疹の可能性が強くなります。

しかし、まだこれだけでは薬疹の診断には十分と言えません。先程述べたウイルス感染の場合でも、自然に発疹が良くなってくるからです。正確に診断するのは専門家でも難しい場合も多いです。

治療

原因薬剤の中止が何より大事ですが、その上でステロイドの全身投与をすることが重要です。
当院においてステロイドの全身投与は基本的には内服で行われます。
点滴や静脈注射に比べて効果発現は少し遅れますがステロイドの血中濃度が安定して持続的な効果に優れ、治療の効果が切れたときの反動も少ないです。

上述のように感染症を合併しているケースも多いですが、中途半端なステロイド量で治療を開始したが効果がなく、ステロイド量を漸増する方法は非常に危険です。
最近ではむしろ感染症に対しても積極的にステロイドを使うようになっており、我々も十分なステロイド量を投与するよう心がけています。

薬疹の中でも中毒性表皮壊死症(TEN)とスティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)は最も重症な薬疹のタイプで、TENの場合で死亡率が20~30%と言われています。両方の薬疹においては皮膚だけでなく眼、口唇、陰部などの粘膜がやられるのが特徴で、水疱やびらんなど皮膚が剥がれた面積が10%以下のものをSJS、30%以上をTENとし、その中間の10~30%の場合をSJS/TENのオーバーラップとする診断基準で世界的に統一されました。

治療としては早期であれば大量のステロイドあるいはステロイドのパルス療法が有効です。また免疫グロブリン製剤も使われますが、とにかく早く診断してはやく治療を始める必要があります。
こうした命に係わる薬疹もありますので、薬疹が疑わしい場合には必ず皮膚科を受診するようにしてください。

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