白癬(水虫)
日本人の5人に一人が足白癬(水虫)、10人に一人が爪白癬(爪水虫)にかかっているといわれています。
特に50歳を超えると急激に水虫の発症が増えますが、これは5大成人病と同様の傾向です。
水虫と言えば感染症という側面もある一方で、白癬菌は常在菌で水虫の病態に我々の免疫反応がかかわっていることが知られています。
実際、糖尿病の患者様におきましては水虫が増悪しやすく、治りにくい頃が知られています。
具体的には表皮細胞からの抗菌ペプチド、炎症性サイトカインから始まって好中球、マクロファージ、表皮のランゲルハンス細胞、真皮樹状細胞など様々な免疫細胞がかかわっています。
ですので、症状にあわせて抗真菌剤だけでなくステロイド剤や亜鉛華軟膏などを組み合わせながら治療していきます。
近年、日本においても抗真菌剤に耐性をもった白癬菌も報告されていますので、皮膚科を受診して自分に合った抗真菌剤を使ってきちんと水虫を治すことが大切です。
また、皮膚の角質や爪を採取してわずか数分で顕微鏡を使って白癬菌がいるかどうか確認できますので、「水虫かな?」と思ったら遠慮なく皮膚科を受診してください。
白癬菌は足白癬。爪白癬のほかに全身の皮膚や頭部、手、陰部などに症状を起こします。
特に体にできた体部白癬は足の裏などと比べて皮膚の角層が薄いために炎症をおこしやすく、かゆみを伴いやすいです。
また表皮細胞からの抗菌ペプチドにより中心部だけ治癒して円形の赤い皮疹になることが多く別名「ゼニタムシ」とも呼ばれます。
頭部の白癬は基本的に外用剤が効きにくく、内服治療が必要になる場合が多いです。
このように様々な場所に症状がおこりうるので早期発見・早期治療が大事です。
爪水虫に対する内服治療
60歳以上の方の40%は爪水虫に罹っているといわれています。
外用剤による治療と内服薬による治療の二種類がありますが、外用剤による治療は一年以上にわたって毎日外用しても完全治癒率は20%から30%ぐらいです。
一方、内服薬としては近年ホスラブコナゾール(ネイリン)という内服薬が発売され、この薬を3か月内服した場合の完全治癒率は60%で、完全に治癒しない場合でもほとんどの場合において爪がきれいになるなどの効果が得られます。
また、内服し終えた後も爪に薬剤が残留し、内服終了後6か月ぐらいの間は効果が持続するといわれています。
副作用も従来の内服薬と比べても非常に少なく、肝機能に対する影響も少ないのが特徴です。
ただ肝機能に与える影響が全くないわけではないので、毎月の血液検査が必要になります。