高齢者のかゆみを伴う皮膚疾患
高齢者でかゆみを伴う皮膚疾患で多いものの一例です。
皮膚そう痒症(ひふそうようしょう)
老人性皮膚そう痒症。高齢者は若年者より、ひび割れやかゆみを起こしやすくなる。50歳を境に男性に多くみられる。
接触皮膚炎
皮膚に何かが接触し、それが刺激やアレルギー反応となってかゆみを伴い湿疹が現れる。介護を必要とする高齢者のおむつでかぶれるケースもある。
脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)
皮脂の分泌の多い部位に、鱗屑の付着した紅斑が生じる。40~60代の男性に多くみられる。
※鱗屑(りんせつ):白く細かいかさぶたのような状態
※紅斑(こうはん):皮膚が赤くなっている部分
皮脂欠乏性皮膚炎(ひしけつぼうせいひふえん)
乾燥してうろこ状の鱗屑がみられる皮膚に、亀甲状の赤みや円形の赤みが生じ、さらにかゆみも伴う。高齢者に多く冬に悪化することが多い。
貨幣状湿疹(かへいじょうしっしん)
形がコインに似ており円形の紅斑上に小さな丘疹や鱗屑がみられ湿潤していることが多い。
※丘疹(きゅうしん):肌にブツブツが出ている状態
※湿潤(しつじゅん):ジュジュクしている状態
ビダール苔癬(慢性単純性苔癬)
頭部、腕、首、脚に多く、皮膚の上層の慢性の炎症により激しいかゆみが生じる。色素沈着を伴うこともある。女性に発症することが多い。
紅皮症(こうひしょう)
全身の皮膚が赤みを帯びて厚くなり、角層がはがれ落ちる。アトピー性皮膚炎、慢性湿疹、薬疹、乾癬、皮膚リンパ腫などから移行するケースが多い。
うっ滞性皮膚炎
両下腿に褐色の色素沈着を伴った紅斑、紫斑、丘疹がみられ、皮膚が硬くなっていく。静脈瘤を伴うことも多い。
多形慢性痒疹(たけいまんせいようしん)
かゆみが強く、硬い盛り上がりが多発する痒疹に加えて、小さな紅斑や丘疹が混在する。
※痒疹(ようしん):かゆみのあるブツブツでしこり感があり、激しい痒みにより皮膚を搔きむしってしまうことが多い。
乾癬(かんせん)
円形や楕円形のはっきりした紅斑が体にでき、銀白色のふけのような鱗屑がつく。原因は良く分かっていないが、免疫系の異常が関係していると言われている。
掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)
手のひらや足のうらに、水ぶくれや膿みができる。左記以外に、すねや膝、肘、頭などに症状があらわれたり、爪が変形したり、骨や関節が痛んだりすることもある。人に感染することはない。
蕁麻疹(じんましん)
体の一部、あるいは全体に、突然強いかゆみを伴う紅斑や盛り上がった膨疹ができ、数時間から1日程度で出現消失を繰り返す。
※膨疹:赤い盛り上がり
白癬(はくせん)
水虫、たむしと呼ばれる。手足に多く、体や股などにも見られる。皮膚糸状菌というカビによって生ずる感染症で、皮膚科を受診する患者の10%程度を占めるありふれた病気。
カンジダ症
カンジダ菌は日常的に存在する細菌だが、抵抗力や免疫力が落ちると増加する。指の間やワキの下、股間など、紅斑や鱗屑がみられる。
疥癬(かいせん)
ヒゼンダニが人の皮膚に寄生し、かゆみも伴う。通常疥癬と角化型疥癬の2つの種類がある。角化型疥癬の方が感染力は強い。赤く大きなぶつぶつが増加して、鱗屑や結節が現れる。施設内で感染が広がることが多い。
※結節:直径10~20mmの皮膚の盛り上がり。しこりとも呼ばれる。
類天疱瘡(るいてんぽうそう)
全身にかゆみを伴う紅斑と、大型の水疱が現れる。自己の免疫機能が組織を傷害する自己免疫性疾患。
以上、高齢者にみられる疾病についてご説明させていただきました。気になることがあれば当院への受診をご検討下さい。