お肌とストレスとコルチゾールと 具体的な対処方 ~ストレスニキビや肌荒れでお悩みの方へ~
お肌は、心身の不調による影響を最も受けやすいと言われています。
ストレスによって、身体を正常に保つ機能である自律神経が乱されてしまい、
この自律神経の乱れは、お肌に対して、主に①ホルモンバランスの乱れ②皮膚のターンオーバー機能(皮膚の細胞が生まれ変わるサイクル)の低下
といった悪い影響を及ぼします。ホルモンバランスが乱れてしまうと、男性ホルモンが増加し、皮脂が過剰に分泌され、これがニキビの発生に繋がります。また、自律神経が乱れると、皮膚のターンオーバーに乱れが生じ、皮膚のバリア機能が低下します。これによって、使い慣れた化粧品や、花粉や埃、衣類などが触れただけでも、お肌に異常が生じます。
上記のことは、ニキビにお悩みの方々の中には、ご存知の方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
近年、上記に加えて、ストレスに原因を認められるニキビの発生について、新たなことが明らかになりました。
それが、以下にご紹介させていただくコルチゾールです。
コルチゾールとは?
成長ホルモンや性ホルモンの分泌が活性化すること等による皮脂の過剰分泌や、月経周期などに、思春期ニキビの発生が依存するのに対して、
ストレスニキビは、副腎皮質から分泌されるコルチゾールと呼ばれるストレスホルモンの過剰分泌に起因します。
コルチゾールは、ストレスを受けた際にストレスに対抗すべく分泌量が増える、抗ストレス作用を有するホルモンで、健康維持に必要不可欠なホルモンです。抗炎症作用・免疫抑制作用を有するので、ステロイド系抗炎症薬として、広く治療に使われてもいます。
ふつう、コルチゾール値が上昇した時には、濃度を低く保つために、分泌が抑制されます。しかし、ストレス過多が続くと、コルチゾールの抑制機能が壊れてしまい、分泌が慢性的に高くなりますが、このことは、不眠症やうつ病をはじめとする精神疾患や生活習慣病等の疾患に繋がったり、免疫機能の低下によって、感染症やがんなどの発症リスクも高まります。
加えて、コルチゾール値の上昇に伴い皮脂の分泌も増加し、炎症や毛穴の詰まり、肌荒れもが誘発されてしまいます。さらに、コルチゾールによってアクネ菌受容体の発現が増えますが、これはニキビの炎症反応が悪化することにもつながります。
いかがでしょうか。健康維持に欠かせないコルチゾールですが、うまく付き合うことが出来なければ、諸刃の剣になり得ることをご理解いただけたかと思います。
この時、そもそもストレスを軽減することが出来ればよいのですが、それぞれの方に様々なご事情がおありでしょうから、時にはどうしてもそれが難しく、不安やストレスを解消できないこともあるかと思います。
ここで、コルチゾール分泌を正常に維持できるように、日常生活の中で取り組んでいただきたいことを、次にご紹介させていただきます。
①運動習慣をつける
常日頃から、ウォーキングやジョギング、エアロビクス、サイクリング、水泳などの長時間継続して行う運動である有酸素運動をしている人は、運動習慣がない人と比較して、ストレスを受けた時のコルチゾール分泌量が少ない、ということが明らかになっています(無論、個人差はあります)。
運動は心身に負荷がかかるものですので、これも一種のストレスと言えます。また、運動にはエネルギーや酸素を多く要するので、これらの事情が相まって、コルチゾールの分泌は亢進されます。
普段から運動習慣をつけておくことによって、皆様の身体は適度なストレス、および、運動の開始・終了に伴う分泌量のコントロールに慣れてゆきます。そうなると、人間関係やその他の事情で精神的な負荷がかかった際にも、適当にコルチゾールを分泌することができるので、健康状態が維持されやすいのです。
②十分な睡眠時間を確保する
コルチゾール値をコントロールする上で、睡眠スケジュールを適切に調整することが要となります。上に記したように、コルチゾールは副腎皮質にて分泌されるホルモンですが、この副腎皮質は、私たちが眠っているときに休むことができます。
朝はたくさんの日光を浴びてコルチゾールの分泌を促し、就寝時には、悩みや仕事のことは考えないように心掛けましょう。中村天風先生も、床に入った後は、何も考えないようにすることを勧めています。大きな悩みであっても、翌朝起きてから考えるようにして、夜はしっかりと休息を取ってください。
③ビタミンCの補給
ビタミンCは、コルチゾールの合成に必要な成分です。ストレスが溜まると、ビタミンCは激しく消化されます。
ブロッコリーやパセリ、ミカン、いちご、キウイ、じゃがいも、アセロラ、赤ピーマンなど、ビタミンCを多く含む食品をたくさん摂るようにしましょう。
こうしたことに取り組んでいただくことにより、ストレスに起因するお肌トラブルは少なからず軽減されることになります。
もちろん、ストレスを蓄積してしまわないように、趣味を楽しむ時間を作ったり、信頼できる他者と交流することも大切です。
また、読書や音楽も、内省して自己を見つめたり、世界の在り方や人生の意義について、冷静かつ理知的に考える助けとなるのみならず、
カナダ出身のピアニストであるグレン・グールド氏や、ソ連時代の映像詩人であり、黒澤明監督からも同時より高く評価されていたタルコフスキー氏も述べている通り、
心魂を癒してくれるものでもあります。
ストレス、心理的負荷を軽減する方法は人によって異なると思いますが、様々な手段・方法が存在しますので、様々な情報に触れることで、ご自身に適した方法を見つけていただけますことを、心より願っています。
いかがでしたでしょうか。
コルチゾールと上手く付き合い、ストレスやニキビをやっつけましょう!