中国で流行中の「チクングニア熱」に注意!
こんにちは。五条桃谷皮膚科クリニックです。
今年に入り、中国南部を中心に「チクングニア熱」の流行が拡大しているという報道があり、医療現場でも警戒が高まっています。
「チクングニア熱」は日本ではあまり知られていない病気かもしれませんが、実は皮膚に特徴的な症状が出る感染症で、皮膚科でも注意深く診る必要がある疾患のひとつです。
今回は、チクングニア熱について皮膚科の視点から解説します。
🦟チクングニア熱とは?
チクングニア熱は、「チクングニアウイルス」に感染することで発症します。
このウイルスは蚊(ヒトスジシマカやネッタイシマカ)によって媒介され、感染地域では爆発的に流行することがあります。
今回の中国での流行も、高温・多湿の気候や蚊の増加が影響していると考えられています。
🧳中国から帰国後の発熱や発疹は要注意
チクングニア熱は東南アジアやインド、アフリカなどで見られる病気でしたが、現在は中国国内でも感染が広がっており、日本からの旅行者や出張者にとっても他人事ではありません。
感染後、以下のような症状が出現します:
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突然の高熱(39℃前後)
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手足や関節の強い痛み
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発疹(紅斑や丘疹)
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倦怠感、筋肉痛、頭痛など
中でも「発疹」は、皮膚科医が最も注目するポイントです。
👀皮膚科で見逃したくない皮膚症状
チクングニア熱の発疹には以下のような特徴があります:
・体幹から四肢にかけて赤い発疹(紅斑)が拡がる
・丘疹(小さな盛り上がり)や点状出血斑
・かゆみを伴う場合もある
・手のひら・足の裏に出ることも
・回復後に色素沈着や脱色素斑が残ることも
これらの症状は、デング熱やジカ熱、薬疹などとの区別が難しいこともあり、皮膚科医の観察と問診が非常に重要です。
🩺皮膚科でできる対応
当院では、次のようなケースでチクングニア熱の可能性を考慮します:
・中国や東南アジアから帰国後、1週間以内に発熱と発疹が出現
・発熱がすでに下がっていても、皮疹や関節痛が持続
・デング熱など他の感染症の可能性もあり、皮膚症状の経過観察が必要
皮膚症状に対しては、かゆみや炎症を抑える治療を行いつつ、必要に応じて内科・感染症科と連携して対応します。
🛡️蚊に刺されないことが最大の予防策
チクングニア熱には有効なワクチンや特効薬はありません。
予防の基本は「蚊に刺されないこと」です。
渡航時の対策:
・長袖・長ズボンの着用
・虫除けスプレーの使用(ディートやイカリジン配合のものがおすすめ)
・蚊が活発な朝夕の外出を控える
・ホテル内でも蚊取りグッズを活用
🏥五条桃谷皮膚科クリニックより
海外渡航後に「皮膚に突然出た赤みやぶつぶつ」がある場合、風邪や食事、ストレスだけでは説明できない皮膚症状かもしれません。
皮膚科では、こうした症状を見逃さず、背景にあるウイルス感染の可能性も考えて診療を行っています。
中国や近隣諸国への渡航歴がある方で、発疹や関節の痛みが気になる方は、遠慮なくご相談ください。